メビウスの輪

今回の新型ウィルスはとてもよくできている。
軽症のひとも、無症状のひともいて、
発症前でも感染能力があり、
しかも潜伏期間が長く、
エアロゾルという限りなく空気感染に近い状況でも感染し、
ある一定数が重症化する。

これは、防ぐのが難しいし、
危機感を持つのがなかなかできないのもわかる。
誰しもが自分は軽症で済む気がしちゃうし、
東京は核家族が多くて、
60代以上のひとと同居してる若者は少ない。
友達も若いひとだし、
だから大丈夫、と思ってた、それもわかる。
いまさら若いひとも重症化したり死んだりするって言われてもね。

ちなみに、武漢から来た第一波は、
ほんとに若いひとはほとんどなかったらしいです。
いま来てるのはすでに第二波。
ヨーロッパを経由し、
いかなる道を辿ってか、
ウィルス自体が変遷してるのだそうです。

そして年配のひとはそもそも情報ソースが少ない。
どうしたって理解力も落ちる。
手洗いとマスクに万能感を持ってても仕方ない。

3つの密が重なる場所を避けろと言われると、
重ならなきゃいい、と自己解釈するひとも多かった。
→じっさいいろんな人から聞いた。

劇作家的に言うと完璧なプロットというヤツだ。

仕組みについてはこの動画がわかりやすかった。

ある程度情報収集をちゃんとしてる人なら、
諸外国の状況を見て、
こりゃヤバイと気づけたとは思う。
始まるのがもう少し早ければ、
春節による大量移動も、
迂闊と言われちゃう卒業旅行ももっと少なかったと思う。

2月の頭はまだまだ、
「でも経済は回さなきゃ」
と誰しもが思っていた。
中国のひとの大量移動を諦めるには、
彼らが旅行してくれることの恩恵はあまりにも大きかった。
ずっと楽しみにしていた海外旅行を、
自分ひとりくらい楽しんでもバチはあたらないと思ってた。
わたしたちの表現の自由を脅かすのが、
ウィルスじゃなくて権力だと思ってた。

このあたりの設定も上手い。

わたしも3月末まで公演に関わっていた。
自分のカンパニーではないので、
公演の是非に関しての決定権はない。
とは言え、
やはり自分の作ったものは世に出したかった。
その気持ちはたしかにあった。
ひとりひとりのこのくらいはいいでしょ、
が、しかし、こういう場合、大きな問題ともなる。
それも身をもって体験した。

こりゃまずいかも、と真剣に思いだしたのは、
世に言う三連休である。

わたしは自転車で劇場に通ってた。
屋台が出ていて、花見してる人たちを見てビックリした。
知人が旅行に行ってたり、
あちこちなにか雪解けという風情で人があふれていた。
怖くなった。
とは言え、わたしも3月、人と3回ごはん食べた。
ぜんぶ打合せも兼ねてたとはいえ、
迂闊だったといまなら思う。

そしてなにより公演をやっていた。
どんなに除菌して、どんなに対策しても、
ぜったいなんてないし、
だからささやかな発信の場所を持つものとして、
この世相に注意喚起もできなかった。
だって、わたしも公演中だから!!
ひとのことなんて言えないから!!

そうこうしているうちに4公演残してクローズになった。
なってしまった。
晴れて自粛の身にはなったが、
やはりtwitterとかで控え目に、
「気を付けよう」とか言うくらいしか
できなかった。

さて。緊急事態宣言が出るらしい。
仕事と満員電車は緩和されない、かも。
というナゾの緊急事態宣言ではあるが、
緊急事態宣言である。
そして内容を精査するとわたちたちの生活権など
まったく無視されている、
つまりただただ自粛してください、という
ご厚意に甘えて、というヤツだ。
なんなら自粛に強制力が出て、
お給料保障もしなくていいことになるらしい。
これはおかしい。どこをどう考えてもおかしい。

そして、布マスク2枚配布、とか、
お肉券とか、旅行券とか、
謎の支援政策が闊歩し、
たくさん出ている補助金も情報弱者には
まったく行き渡らなそうな複雑さで、
しかも申請にはもれなく
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
の感染リスクがついてくる。

こんな完璧なプロットのこの病原体に対して
失礼なほど、日本の政策は穴だらけだ。

しかし、ここもよくできているんだけど、
政策がダメだからと言って、
自粛しない、と言っていると、
完璧なアイツはそこにつけこみ、
わたしたちの生活を完全にノックアウトしてくる、
それがもう見えている。

かと言って、わたしたちが自分の思慮で自粛すると、
もし終息に向かった場合、
手柄は政府のものとなり、
補填はまったく不十分で、
わたしたちの生活だけがひっ迫する。
人間の心理として、悔しいし不本意だ。

そして、そのことを政治がまったく意に介さないのも
見えている。

穴だらけのくせして、
わたしたちを、
メビウスの輪のなかに的確に放り込んでいる。
ある意味、確信犯なんだと思う。
それか、あってはいけないほどのド天然か。

どっちなんだ。

答えは、もうまったくわからない。
考えても考えてもわからない。
でもわかるのは、
ドイツはこうやってて、とか、
クオモ凄くて、とか、
韓国羨ましい、とか言ってても、
事態が変わらないということだ。

わたしたちの政権は、いまのあの政権です。
何度もあったチャンスを逃した。
ひとに寄り添ってくれない政権だってことくらい、
ずっとまえからわかっていたことじゃないか。
でもあの政権だ。
これは覆らない。

口惜しいけど、自粛する。
でも言い続ける。
これしかない。
でも口惜しい。
こんな状況なのにデモもできない。
デモができる世界のうちになんとかしとかなきゃ
いけなかったのに。
なんだ。この世界は。

せめてではありますが、
こういうサイトがありまして、
わたしたちのささやかな主張の場として機能しているようです。
わたしも
コレコレに署名したり寄付したりしました。
安倍首相の退陣を願う、ってヤツにも署名したけど、
もしいま彼になにごとかあっても、
代理は麻生さんが筆頭。
次が菅さんだそうです。
無理すぎます。
「出口なし」とはこういうことか。

政治に対してやれることはやりながら、
でも社会と演劇を守るために
「ステイホーム」を実行する。
この行為自体が矛盾です。
でも制度設計の整備を待ってたらマジやばい。

マジよくできてる。
底抜けのパーフェクトだ。

昨日はそんな中、都に陳情に行きました。
またこのあたり書きます。

そうそう。税金に関しては別で前に書きました
コロナ対策のことも経済とか税金の面から書きたいけど、
長くなるので、それもまた別で書きます。

詩森ろば
serial number(風琴工房改め)の劇作家・演出家です。

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