カサ・ミラ、正式名はラ・ペルドラ(石切り場)
バルセロナの一等地に建てられたカサ・ミラは、
実業家ペレ・ミラからの依頼によって建てられた集合住宅です。
集合住宅なので、夫妻の住居と、
賃貸人の住居がありました。
サグラダ・ファミリア、グエル公園と並んで有名な
ガウディの建築ではないでしょうか。
作った当初は人気がなくて、
親子三代家賃を上げないという約束で賃貸人を募ったため、
いまでも15万円くらいでこのバルセロナの一等地に建つ
お部屋に住めるそうです。
いまも4世帯が生活しているのだとか。
すごく正直に書くと、
今回、見学できたガウディの建築で、
ゆいいつ、ちょっとガッカリだなって思ったのがここでした。
というのも、オーディオ・ガイドが。
あ。オーディオ・ガイドは日本語がちゃんとあります。
そのガイドが、
劇作家目線で見てこれはどうなんだろう、というものだったんです。
やたらカサ・ミラを神格化し、
こう見なさい、と迫ってくる。
今回、いろんなところでオーディオ・ガイドを借りました。
そもそも声がそれに向いてない、とか、
活舌が悪すぎた、とか、
ガイドって大切って思ったんですが、
いちばん好きではないのは主観を押し付けてくるガイドですね。
今回だと、ピカソ美術館、そして、
カサ・ミラがわたし的には残念ガイドでした。
ピカソのほうは、最初事実とか豆知識が入って、
半分くらいから主観とか解釈を滔々と述べだすので、
途中から切る、という手段で乗り切りました。
しかし、ここカサ・ミラは、
その地点を通ると自動的に始まり、
しかもほとんど知識的なことはなく、
いきなりスピリチュアルな主観をグイグイと押し付けてきます。
最初のパティオに入った瞬間からそれは始まります。
「上をご覧ください。
もっと上です。
そう、ここは森です。
都会の喧騒から離れ、心を開いてください。
あなたの心の感じるままに、建物を見てください。
あなたの心の奥深くに、ガウディは、
史上かつてない領域の言葉を駆使して語りかけてきます。|
さあ、未知の世界への扉を開きましょう。」
いや。もちろんココロの感じるままに観たいですよ。
でもそんなふうに言われてしまったら。
わたしのような人間はかたくなに心を閉じてしまいますよ。
有名な屋上に入る瞬間はこれです。
「そこでは、
みなさんがかつて体験したことのない、
想像をはるかに越えた、
史上最も素晴らしい庭の風景に圧倒されるでしょう。
さあ、感じてください。」
無理だ、と思いました。
これではカサ・ミラがただのギャグになってしまう。
目の前に広がる史上最も素晴らしかったはずの風景のなか、
わたしはそっと耳からイヤホンを外しました。
ここは鯨の骨のような屋根裏部屋にあたるところ。
いまはカサ・ミラの展示室になっていますが、
昔はここにメイドさんたちが洗濯物を干していたそうです。
居室はシンプルです。
わりとフツウで住みやすそう。
ここはメイド室。
寝室です。
玄関ホールの階段。
そして、カサ・ミラとは逆に、
今回いちばん借りてよかったな、と思った
オーディオ・ガイドが、
トップ画像にもなっている グエル邸です。
グエル邸は、生涯ガウティを支え続けたパトロンであり、
バルセロナの文化のためにとても貢献した
実業家、グエル氏のためにデザインされた家です。
この家を深く観るためのとても適切なガイドだと思いました。
これが外観です。
旧市街の裏道に建つ外観は、
ガウディの他の建築に比べるとそこまで派手ではありません。
内部は瀟洒で美しく、
グエル一家がこの家をとても愛したというのが、
よく理解できます。
これが玄関ホール。
中からは外が見えますが、
外から中は見えません。
全体です。
グエル家の食堂です。
トップ画像は、礼拝堂であり、
コンサート等を開いたという客間の天井。
ガウディは光を取り入れることに拘った建築家です。
天井に空いた孔から光が注ぎます。
光の加減が美しい。
屋上はやっぱり奇怪な光景。
排気口とかをこうやってオブジェ化してるんだそうです。
楽しいですね。
ピカソ美術館から近い旧市街にありますから、
セットでぜひ見学するといいと思います。
感動しました。
そして、最後がグエル公園です。
ここは現在は公園になっていますが、
そもそもは建売住宅、つまりニュータウン的な場所として
グエル氏とガウディが計画した場所だそうです。
しかし、場所も不便で、
小高い丘の上という環境が当時のひとたちには受け入れられず、
30軒以上の住宅が建てられるはずだったという敷地に
じっさいに住んだひとは、
グエル一家とガウディ自身だけだったそうです。
いまはグエル公園を囲むように高級な住宅が立ち並び、
バルセロナの高級住宅街という趣きです。
有名な回廊。
グエル公園でいちばん高い位置にあるという
通称ゴルゴダの丘。
わたしたちはなぜか裏からグエル公園へ入ったのですが、
ここでひとつ問題が起こりました。
いちばん有名なゾーン。
すなわちタイルのウネウネしたベンチがある広場から
グエル公園と言えばここ、という、
このゾーンが今日はもう予約でいっぱいだから入れないよん、
と言われてしまいました。
なんですって。
ベンチは遠目で見れたからいいとしても、
わたしのいちばん会いたいトカゲが!
(恐竜に近い生き物たちが好き)
ちょうど植え込みの陰になってて見えない。
遠目ですら会えない!!
係のお姉さんが、
19時からならフリーで入れるよ、と教えてくれました。
時刻は18時。
田島さんが待ってもいいよ、と理解を示してくれたため、
一時間、門前のカフェで待つことにしました。
というワケで、19時と同時に階段を駆け上がるわたし。
いました。
可愛い。想像以上に可愛い。
嬉しそうにもほどがある。
そして、ベンチです。
遠目に見たからいいや、と思っていたんですが、
これがとんでもなかった。
先に座っていた田島さんが、
これ凄いよ、凄いよ、と興奮しています。
わたしも座ってみたのですが、
石の、硬いベンチだと思っていたのに、
ものすごく座り心地がいいんです。
体を包み込んでくれるような。
あとで調べると、ガウディは人の骨格などにも
拘って家具やこういったものをデザインしたそうです。
まさか人間工学的な見地もある建築家とは、
写真だけ見ていたらわからないですよね。
タイルもタイル工場で売り物にならなかった半端なものを
使っているそうです。
いのちが回復していくような、
すごいベンチでした。
グエル公園のベンチは。
行く機会があったらぜひ座ってみてください。
いっしゅんどこか凄いとこに連れてってくれますよ。
時間内に入場できなかったので、
こちらにあるもうひとつのグエル邸内部は見られなかったけど、
ガウディのシンプルで美しい自宅は見学できたし、
カサ・バトリョも、
カサ・ビセンスも外観は見ることできたし、
ガウディを堪能するという目的は果たせたかしら、
と思います。
というわけで、
建築を中心に置いたわたしたちの旅はこれで終わりです。
2026年に完成予定という
サグラダ・ファミリアが完成した姿を観たいとは
正直あんまり思わないのですが、
(どうしてでしょうね)
バルセロナはまた帰ってきたい街です。
読んでくれてありがとうございました。
でもまだしつこくちょっとだけ続きます。
演劇編。
ロシアからロンドンまでひと息に旅しますね。
どうぞお楽しみに!