これは酒巻くんが演じてくれる、
モイセイ・ギンスブルクのドムナムコムフィン。
集合住宅です。
共用できる部分はできるだけ共有化し、個人のスペースを最小化する、
という共産主義の思想にとても忠実に建てられています。
そのため、集合住宅として人気がなくて、近年では廃墟化している、
と聞いていました。
今回、いちばん間に合うだろうか、と心配していた建物ですが、
ロシア・アヴァンギャルド建築を少しでも齧ったひとにとって、
他のどれよりも構成主義建築的と言っていいこの建物は、
たぶんアイドルみたいなもので、
じっさいわたしもどれより先にこの建物に会いに行きました。
近づくと、囲いがしてあって、工事の真っ最中である。
さいしょ、ついに取り壊されているのか、と震えてしまいました。
なにか書いてあるけどロシア語なのでわからない。。。
しかしどうも構造はそのままにリニューアルしているところのようでした。
集合住宅になるのか、なにか別のものに転用されるのか。
ちょうどその瞬間に会えたということで、
劇的な幕開けとなりました。
これは改築中の正面。黄色味かかった色から
白色に塗り替わっている。
その向こうに見えるのは、
スターリンの建築と呼ばれるもので、
エンパイヤステートビルのような塔が特徴です。
スターリンはこのかたちが好きで、
モスクワでギョッとするような巨大で立派な建物に遭遇したら、
ほぼこのスターリンの建築、
セブン・シスターズだと思って間違いありません。
メーリニコフ自邸に近いと思って取ったホテルは、
スターリン建築の外務省ビルのお膝元でもあって、
我々は連日その建物を横目に見ながら、
彼に迫害された建築家や作家たちの足跡を追うということになりました。
予測をはるかに超えて威風堂々。権力を誇示していましたね。
ヨーロッパの年は建築に統一感のある都市が多いですが、
モスクワはいろんな様式の建築が並んでいます。
そのなかでもスターリン建築と、
アヴァンギャルド建築は、
どちらも異形の建築でした。
このいろんな様式が混ざっていること自体が、
ロシアの激動の歴史とリンクしてるんだな、と実感できました。
これはヴェスニン兄弟の、たぶん元は政治犯のためのクラブ
だった場所なんだと思うんですが、いまは映画俳優たちの家
という名前になっています。
間違ってたらゴメンナサイ。
劇場なのかな。。。?
ニキータ・ミハルコフが芸術監督だそうです。
改修の必要が訴えられていましたがいまも月に数度は公演があるようです。
こういうこともっと調べぬいてから行くべきでしたね。。。
ルサコフクラブといい、チャンスを逃しました。
ヴェスニン兄弟の三男、アレクサンドル・ヴェスニンは
イヴァンの才能を見出した生涯の先生でした。
劇中では青山勝さんが演じてくださいます。
これはヴェスニンの作品としていちばん有名なリハチェフ文化宮殿。
宮殿とはいいますが、別にお城ではありません。
文化センター、みたいなカンジでしょうか。
現在は図書館や市民の勉強の場、
そしてバレエ学校などで使っているようです。
美しい螺旋階段。
ここでよくロシア映画とかで見る、
バレエ学校の廊下に小さなバレリーナたちがパーッと集う情景を観ました。
あの中から未来のプリマが登場するんでしょうか。
いわゆるお稽古事、というとは違う光景でした。
その下の階では年配の方々が社交ダンスを習っていました。
ここでは生きて使用されている構成主義建築の
息遣いをいちばん感じることができました。
これはモストルグ・デパート。
今はべネトンが入っています。
構成主義建築に、西洋資本主義の最も成功した一例が。
窓も七色に彩られ、これも時代の流れですね。
これはル・コルビジェが招待されたコンペで勝ち
建てられたツェントロ・ソユーズ。
モスクワの官公庁街にドーンと建っています。
裏手にはコルビジェの像がありました。
ミーハーですが、記念撮影。
嬉しそうですね。
そしてこちらはモダニズム建築ではないのですが、
おそらく、たぶんおそらく、
ブフテマスというイヴァンたちの学校の跡地ではないか、
と思われる場所。
ロシアのサイトをサーフィンして、いまはこんな場所になってるよ、
というのを頼りに探したのでまったくの勘違いかもしれません。
でも、こうイメージに合ってるし、とりあえずここにしよう、
ということでserial number的に決定されたイヴァンの母校です。
今も美術関係の学校が入っているようで、デッサンをする生徒さんを
窓に見つけて、イメージ強化。
ここも工事中でした。面白いのはロシアは工事中の場合、
その建物の元の絵を描いた布で覆われているんです。
これはラジオ・タワー。
シューホフがデザインしたモダニズム建築の始まりを告げた
とも言われる建築物です。
ほんとはこの倍くらいの高さになるはずだったんですが、
予算が足りず、とても可憐な高さで収まっています。
シューホフは出てきませんが、
青年のイヴァンと、生涯の友人(同級生なのは史実ですが、
友人だったのは詩森の創作で真相はわかりません)である
エレーナが、このラジオタワーを見に行くシーンがあります。
才気煥発でマヤコフスキーとも交流があった才女エレーナを
新進気鋭の女優さん、三浦透子ちゃんが演じてくれます。
透子ちゃん。
一度田島さんとシーンを演じてもらったんですが、
積んでるエンジンがケタ違いです。
早く稽古したいし、早くお見せしたい。
これはビル全体が広告になっていたビル。
ロトチェンコやマヤコフスキーの広告が全面に描かれていたそうです。
広告が盛んでマヤコフスキーもクッキーとか紅茶のコピーを
書いたりしてるんですが、
そのお金はどこから出て、だれの収入になっていたんだろうか。
共産主義時代のロシアってまだシステムをわかりきってないので、
今回のためにもう少し調べてみるつもりです。
最後に、物語のラスト出てくるレーニン図書館。
モダニズムが敗退し、また伝統建築が幅を利かせてきた
その象徴として出てきます。
作家としては複雑な気持ちになりますが、
建物としてなにも知らずに見たらとてもカッコよかったのでは、
と思います。
ロシアではこの他、演劇もたくさん見たんですが、
それはあとでまとめて演劇編で書こうと思います。
そして旅行記はようやく革命の街、
サンクトペテルブルクへ。
追記
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