合間を縫って、公演知ったときから行きたいな、と思っていた
西悟志さんの「授業」に行きました。
ここでいきなり話がズレますが、
西さんはわたしと田島さんの演劇的な意味での仲人です。
田島さん。わたしの相方の田島亮さんですね。
かと言って西さんは田島さんとは、
そもそもわたしとも知り合いではありません。
わたしと田島さんがserial numberを始めるにあたっては、
始めたいの始めないの始めたくないのという、
演劇を巡ってのたくさんの山場がありました。
そんな時期に観たのが、西悟志さんの「マクベス」でした。
西さんは昔、小鳥クロックワークという劇団をやっていて、
知る人ぞ知る演出家で、わたしはけっこう観に行ってました。
最初は、山の手事情社の倉科淳子さんが出る「スペードの女王」だったと思います。
わたし、前衛っぽいものはですね。
太田省吾とカントールで育ってまして、文学少女の慣れの果てでもあり、
けっこう斜めに構えて観に行ったのですが、
これがかなり面白くてですね、
そのあと「わが町」に行って感動して、
で、たぶん解散して別ユニットで「ニッポニアニッポン」かな。
三条会の関さんといい利賀演劇フェスの最初頃って凄かったですね。
ところがそのあとコツゼンとして姿を消してしまうわけです。
その間10年。
あー。もう見ることできないんだろーなー、と思っていたら、
大好きなソンハくん(博多までエリザベート観に行ったくらい好き)
と、とつぜん復活公演的なものをやる、と聞きまして、
その足でチケットを取りまして、行きました。
「マクベス」
これがほんとにほんとに凄かった。
この「マクベス」は、4幕2場から始まり、また最初に戻り、
という構造でした。これ論じだすと「授業」の話できなくなっちゃうから
省きますが、いちばん物語の本筋と関係のない母子が殺されるシーン
ではじまることで、戦争とか権力争いの本質を見せるという
神業みたいなお芝居でした。しかも俳優ふたりで「マクベス」って!!
夫婦漫才形式のことばっかり書かれがちな印象でしたが、
わたしはとにかくそこにビックリしたと思います。
この映像の4分経過くらいに観に行ったわたしと田島さんが
興奮のあまり飛び跳ねている映像があります。
そしてそれをふたりで観たことで、
やりたいことは(スタイルはぜんぜん違うけど)こういうことだよね、
なによりいろいろなところが違うわたしたちだけど、
演劇の魂だけは共有してるのかもしれないね、
と思ったできごとでもあったのでした。
ふたりとも飛び跳ねてたからね。自然発生的に。笑。
撮ってた友達、ポカン、みたいな。
で、これは仕方ないなーと腹をくくっていまに至る。
それで、静岡だけど、これは行くでしょ、ということで「授業」、
行ってきました。
イヨネスコの「授業」はわたしも演出したことがあります。
わたしは、いまの女の子は、
被害者として殺されるんじゃなくて、
むしろ殺させるようにしむけるんじゃないかな、と思って創りました。
パンツ脱いだり、机の上で大股開いたり、
そして最後は願いを果たして能動的に殺されていく。
彼女にとって現世に希望なんてなくて、
絶望だけを身体いっぱいに満たし、
男性を弄び、死への欲望を果たす、
いま思ってもなかなか面白い「授業」だったと思うんですが、
西さんの「授業」は、怒ってました。
女性自身が怒っているのではなくて、
男性という他者が、
女性性のために怒っている芝居でした。
わたしは蹂躙される女性性の側なので、むしろ、
教授が40人殺したという事実なんてそれこそ
塊りとしかとらえていなかったのですが、
ひとりひとりに名前があり、死ぬまでは生きていた。
それを恥ずかしげもなく叫んでくれていました。
大学入試は、一律減点され、
レイプされても立証できず、
誘惑したからだ、とまで言われる女性たち。
いつのまにかその立場に甘んじていたな、と。
アカデミズムの暴力性や、
知性が劣情を産む、男性性のあられもない姿という
イヨネスコが仕掛けた戯曲の本質の、
一歩先をいく、というか、イヨネスコでさえ
気付いてなかった盲点を捉える西さんの「授業」
イヨネスコがこれを見たら、
いや。それは思いつかなかったな、と言うんじゃないだろうか。
イヨネスコに忠実に、
でもイヨネスコを超えていく。
ステキな体験でした。
青臭いの、もよかったですね。
青臭さが、洗練された技術と、
たぶんすごいしつこい完璧主義の演出と、
キマイラ状になって、
なにもない空間にトグロを巻いてるような舞台でした。
役者さんもみんな素晴らしい。
明瞭で、セリフがほんとうによく聞こえてきました。
10月最後の日曜日まで観ることできるみたいだから、
静岡まで行く価値ありですよ。
アリです、と言っておきます。
情報も貼っちゃう。
来年は新国立でリチャード三世だそうです。
西さんがリチャード!!
ああ。楽しみすぎる。